厚生労働省の基準では、以下の場合における脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患については、業務起因性が認められ、労災として認定される可能性があります。

対象疾患

  • 脳出血(脳内出血)
  • くも膜下出血
  • 脳梗塞
  • 高血圧性脳症

    認定要件

    次の(1)~(3)のいずれかの「業務による明らかな過重負荷」を受けたことにより発症 した脳疾患は、業務上の疾病として取り扱われるとされています。

    1.長期間の過重業務

    発症前のおおむね6か月間で、以下の条件が該当する場合、業務と脳出血との因果関係が認められる可能性があります

    • 発症前1か月間におおむね100時間の時間外労働。
    • 発症前2か月間~6か月間に月平均80時間を超える時間外労働。

    「発症前2か月間~6か月間」は、発症前2か月間、発症前3か月間、発症前4か月間、発症前5か月間、発症前6か月間のいずれかの期間とされています。

    2.短期間の過重業務

    発症直前1週間から数週間において、集中した過重業務や心理的負荷が確認される場合。

    3.異常な出来事

    発症直前に異常な出来事に遭遇した場合。

    例えば、業務に関連した重大な人身事故への関与、生命の危険を感じさせるような事故の体験、著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業等があげられています。

    因果関係の立証

    労働者側は以下の証拠を基に立証します:

    労働時間の記録

    タイムカード、勤務表、メールやシステムのログなどを提示します。

    医師の診断書

    過重労働が発症の主因であることを明示した診断書が重要です。

    職場環境の状況

    業務内容や職場の労働条件に関する証拠を収集します。

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    黒田 修輔のアバター 黒田 修輔 代表弁護士

    私を育ててくれた故郷である西宮に貢献したい。それが私の気持ちです。

    これまで多くの人身傷害事案で培った「ケガ」に関する医学的な知識をはじめ、損害賠償、示談交渉のノウハウを武器に、身体的・経済的な苦痛を減らし、賠償額の適正化をめざして日々の業務にあたっております。