disease対象となる疾患
厚生労働省の基準では、以下の場合における脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患については、業務起因性が認められ、労災として認定される可能性があります。

- 脳出血(脳内出血)
- くも膜下出血
- 脳梗塞
- 高血圧性脳症
requirements認定要件
次のいずれかの「業務による明らかな過重負荷」を受けたことにより発症した脳疾患は、業務上の疾病として取り扱われるとされています。
長期間の過重業務
発症前のおおむね6か月間で、以下の条件が該当する場合、業務と脳出血との因果関係が認められる可能性があります。
- 発症前1か月間におおむね100時間の時間外労働。
- 発症前2か月間~6か月間に月平均80時間を超える時間外労働。
「発症前2か月間~6か月間」は、発症前2か月間、発症前3か月間、発症前4か月間、発症前5か月間、発症前6か月間のいずれかの期間とされています。
短期間の過重業務
発症直前1週間から数週間において、集中した過重業務や心理的負荷が確認される場合。
異常な出来事
発症直前に異常な出来事に遭遇した場合。
例えば、
- 業務に関連した重大な人身事故への関与
- 生命の危険を感じさせるような事故の体験
- 著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態や著しく寒冷な作業環境下での作業
等があげられています。
proof因果関係の立証
「過労によって脳出血を負ったこと」について、労働者側は以下の証拠を基に立証します:
労働時間の記録
タイムカード、勤務表、メールやシステムのログなどを提示します。
医師の診断書
過重労働が発症の主因であることを明示した診断書が重要です。
職場環境の状況
業務内容や職場の労働条件に関する証拠を収集します。
case and amount支払われる金額
労災で取得する金銭として、各種の給付(政府からの補償)と損害賠償の2つが挙げられます。
給付(政府からの補償)
遺族補償等給付(遺族補償年金と遺族補償一時金)と葬祭料。
年収別:給付金の概算
以下に、年収ごとの遺族補償年金および一時金の目安金額をまとめました。
年収 | 給付基礎日額 | 年金額 *153日分 | 特別支給金 *一時金 | 一時金 *1000日分 | 合計概算 |
---|---|---|---|---|---|
400万円 | 約10,960円 | 約167万円 /年 | 300万円 | 約1,096万円 | 約1,563万円 *最大 |
600万円 | 約16,440円 | 約251万円 /年 | 300万円 | 約1,644万円 | 約2,195万円 *最大 |
800万円 | 約21,920円 | 約335万円 /年 | 300万円 | 約2,192万円 | 約2,827万円 *最大 |
1000万円 | 約27,400円 | 約419万円 /年 | 300万円 | 約2,740万円 | 約3,459万円 *最大 |
※金額は【年収 ÷ 365】を「日額」として試算。
※ボーナスは含まず、遺族1名(通常153日分)で計算。
詳細:遺族補償年金と関連給付
被災労働者が亡くなった当時、その収入によって生計を維持されていたご遺族(配偶者・子・父・母・孫・祖父母・兄弟姉妹)が、継続的に年金として受け取れる制度です。遺族の数に応じ、給付基礎日額の245日分から153日分の年金を受け取ることができます。
遺族が1名(例:配偶者など)の場合、給付基礎日額の153日分(※条件により175日分)が、毎年支払われます。
※条件とは、遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合です。
遺族が2名の場合には201日分、3名の場合には223日分、4名の場合には245日分となります。
「給付基礎日額」は、事故直前3か月の平均日給(基本給・手当等)をもとに計算されます。
遺族特別支給金(一時金)
遺族補償年金の対象者には、300万円の一時金が別途支給されます。こちらは年金とは異なり、一度きりの支給です。
遺族特別年金
年金形式のもう一つの支給です。
こちらは、算定基礎日額(原則として算定事由発生日以前1年間に支払われた賞与等の合計額を365で除した金額、上限は年額で150万円)をもとに、同じく遺族の数に応じ、153日分(または175日分)~245日分の額が支給されます。
詳細:遺族補償一時金と関連給付
遺族補償年金を受け取る対象者がいない場合(例:扶養していた遺族がいない、またはすべての受給権者が失権した場合)であって、すでに支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たない場合に、一時金としてまとめて支給されます。
遺族補償一時金
上記のようなケースでは、給付基礎日額の1000日分が一時金として支払われます。
ただし、遺族補償等年金を受けている方が失権した場合の給付については、すでに支給された年金の合計額は差し引かれます。
遺族特別一時金
こちらも同様のケースで支給され、算定基礎日額の1000日分が一時金として支給されます。
遺族特別支給金(一時金)
年金受給者がいない場合に限り、300万円の一時金が支給されます(ただし、受給資格者がいたが後に失権したケースでは支給されません)。
損害賠償請求
労災保険による給付は、労災で受けた損害の全てを補償するものではありません。
休業損害の4割、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などについては、労災保険では給付されないのです。
そこで、労災給付で不足する損害については、事業主(会社)に対する請求を検討することになります。
当職が過去に担当した事例では、安全配慮義務違反を根拠として損害賠償請求を行い、労災保険給付等とは別に、解決金として約7500万円を取得した事案があります。
また労災保険給付等とは別に、会社から弔慰金として3200万円に加え、解決金として4000万円の合計7200万円を取得した事案もあります。
労災は弁護士に相談を
事故・ケガに関する豊富な知識と実績
当事務所はこれまで多くの人身傷害事案のご相談をお受けし、賠償金額の増額という形で解決に導いてまいりました。
- 労災において主治医と医療面談を行い、意見書などを証拠として提出し審査請求をする。
- 訴訟において、立証が必要な後遺障害について、主治医と面談し意見を貰い、裁判官を説得する。
- 自賠責の異議申し立てにおいて、主治医に意見を貰い異議申し立ての証拠とする。
相談料
初回相談 | 30分まで:無料 労災事故に遭われた方、 労災が認定されている方は 60分まで無料 |
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以降のご相談 | 30分:5,000円 |