障害等級の適正化

後遺障害診断書

適正な等級認定を受けるためには、後遺障害診断書の記載内容が重要です。

労働災害による負傷や疾病に対し、治療やリハビリを継続したにも関わらず、治療を続けてもこれ以上の状態の回復が望めないという場合があります。

このように、治療をしても、これ以上の改善が望めない状態を「症状固定」と言い、症状固定をしたにもかかわらず残存してしまった障害後遺障害(後遺症)と呼びます。

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申請は症状固定後から

医師と後遺障害

そして、後遺障害等級を獲得するための申請(請求)は、この「症状固定」の診断を受けた後から始まります。

等級認定手続きには、担当医師が作成した「後遺障害診断書」に加え、必要に応じてレントゲン・MRIなどの画像が必要となります。

「後遺障害診断書」には、担当医師により具体的な後遺障害の内容(部位・程度・治療経過など)が記載されることとなります。

そして、一般的には全ての資料が揃った後に、労働基準監督署へこれらの資料を提出し、審査を受け後遺障害等級の認定を受けることとなります。

医師の検査や診断書が十分でないことも

適正な等級認定を受けるためには、後遺障害診断書の記載内容が非常に重要になってきます。
そのため、後遺障害診断書には、できる限り詳しくかつ明確に記載してもらうようにする必要があります。

しかし、医師は、適切な後遺障害等級の認定を得るための専門家ではありません。
そのため、後遺障害認定等級について意識することなく記載がなされるケースも少なくなく、記載漏れが生じるといった場合もあります。

早い段階からご相談ください

弁護士_労災の損害賠償

後遺障害の等級は1つ異なるだけで、等級認定後の給付額が大幅に変わります。

出来るだけ多くの給付を受けるためには、適切な等級認定が求められます。

そこで、医師による診断書作成前に、労災問題に力を入れ、後遺障害についても精通している弁護士にアドバイスを受けることが重要となります。

なお、既に作成された診断書についても、内容に誤りがあれば訂正を依頼することもできます。

後遺障害等級と障害(補償)給付金額

認定された障害等級に応じて支給されます。
具体的な金額は、下記表のとおりです。

1)後遺障害等級第1級~第7級

障害(補償)年金と障害特別年金が、年金として毎年支給されます。また、障害特別給付金が一時金として支給されます。

なお、労災では、障害(補償)年金を受給することになった者に対し、1回だけ年金の前払として一時金を受け取る権利を認めています。一時金は等級ごとに金額が定められています。

2)後遺障害等級第8級~第14級

障害特別給付金、障害(補償)一時金、障害特別一時金が、一時金として支給されます。
支給は1回のみです。

障害等級障害(補償)給付障害特別給付金障害特別年金障害特別一時金
1級年金給付基礎日額の313日分一時金342万年金算定基礎日額の313日分
2級〃の277日分320万〃の277日分
3級〃の245日分300万〃の245日分
4級〃の213日分264万〃の213日分
5級〃の184日分225万〃の184日分
6級〃の156日分192万〃の156日分
7級〃の131日分159万〃の131日分
8級一時金〃の503日分65万一時金算定基礎日額の503日分
9級〃の391日分50万〃の391日分
10級〃の302日分39万〃の302日分
11級〃の223日分29万〃の223日分
12級〃の156日分20万〃の156日分
13級〃の101日分14万〃の101日分
14級〃の56日分8万〃の56日分

(注)同一の災害により、既に傷病特別支給金を受けた場合は、その差額となります。

*出所*
厚生労働局・都道府県労働局・労働基準監督署「労災 障害(補償)給付の請求手続き」

労災に精通した弁護士が執筆しています!

黒田 修輔のアバター 黒田 修輔 代表弁護士

私を育ててくれた故郷である西宮に貢献したい。それが私の気持ちです。

これまで多くの人身傷害事案で培った「ケガ」に関する医学的な知識をはじめ、損害賠償、示談交渉のノウハウを武器に、身体的・経済的な苦痛を減らし、賠償額の適正化をめざして日々の業務にあたっております。

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