1. 慰謝料
労災保険給付によって、療養費や休業給付の8割相当などは補償されますが、精神的な被害を被ったことに対する慰謝料についての給付は受けることはできません。
そのため、労災保険で支給されない慰謝料については、民事上の損害賠償請求により勤務先等(通勤災害については加害者)に請求するしかないのです。
慰謝料として請求できるものには、3種類あります。
1-1. 死亡慰謝料
労働者が死亡した場合に、本人が受けた苦痛に対する慰謝料として支払われます。
裁判基準での相場は下記のとおりです。
- 被災者が一家の支柱の場合・・・・2800万円
- 被災者が母親、配偶者の場合・・・2500万円
- 被災者がその他の場合・・・・・・2000万円~2500万円
また、死亡事故の場合は、被災者の近親者も被災者を亡くしたことによって精神的苦痛を受けると考えられます。
そのため、近親者固有の慰謝料が認められる場合もあり、死亡遺族の家族構成や同居の有無等によって慰謝料金額が異なります。
さらに、死に至る経緯が極めて残酷であった場合など精神的苦痛がより大きいと思えるような場合には、慰謝料の増額が認められることがあります。
1-2. 後遺症慰謝料
後遺障害を負ったことによって受けた苦痛に対する慰謝料です。
裁判基準での相場は、以下の通り、等級によって異なります。
- 第1級・・・2800万円・第2級・・・2370万円・第3級・・・1990万円
- 第4級・・・1670万円・第5級・・・1400万円・第6級・・・1180万円
- 第7級・・・1000万円・第8級・・・830万円・第9級・・・690万円
- 第10級・・・550万円・第11級・・・420万円・第12級・・・290万円
- 第13級・・・180万円・第14級・・・110万円
もっとも、被災者本人・介護する遺族の精神的負担が大きいと考えられる場合には、増額される場合があります。
1-3. 入通院慰謝料
入院や通院を余儀なくされたことに対する慰謝料です。
金額は、入通院日数に応じた基準により金額が決まります。
しかし、傷害の部位や程度によっては、金額が増額されることがあります。
上記のように、労災給付により支給されない損害として慰謝料が存在します。被災者の方や遺族の方は、労災によって多大な精神的苦痛を受けたにもかかわらず、慰謝料は自ら行動を起こし事業主・勤務先(通勤災害では加害者)に対し請求しなければ支払われることはないのです。
しかし、事業主に対する請求は、法的な専門的知識を必要とします。
そのため、勤務先に対する慰謝料請求を検討されている方やお悩みの方は、労災問題に力を入れている当事務所にご相談ください。
2. 逸失利益
逸失利益とは、労働者に後遺障害が残ったり死亡されたことで労働能力が下がった場合に、この事実がなければ得られたであろう将来の収入等の利益を言います。
逸失利益は労災保険給付によって支給されないため、民事上の損害賠償請求により勤務先等(通勤災害については加害者)に請求するしかありません。
逸失利益は、原則として次のように算定されます。
2-1. 後遺障害逸失利益
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
2-2. 死亡逸失利益
年収額×(1-生活費控除率)×67歳までのライプニッツ係数
被災者の方や遺族の方は、労災によって将来の収益が失われるという多大な損害を受けたにもかかわらず、逸失利益は自ら行動を起こし事業主・勤務先(通勤災害では加害者)に対し請求しなければ支払われることはないのです。
しかし、事業主に対する請求は、法的な専門的知識を必要とします。そのため、勤務先に対して逸失利益の請求を検討されている方やお悩みの方は、労災問題に力を入れている当事務所にご相談ください。
3. 将来介護費
医師の指示または受傷の程度などによって、必要があると認められる場合には、職業付添い人分については実費全額、近親者付添人分については1日8000円程度が損害として認められます。
ただし、症状の程度や具体的な状況によっては、金額は増減します。
被災者の方が重度の後遺症によって介護が必要となった場合、被災者本人のご苦労はもちろん、ご家族の方々の介護の負担は多大なものです。
しかし、将来介護費のすべてが労災給付で賄われることは少なく、補償が十分でない部分については自ら行動を起こし事業主・勤務先(通勤災害では加害者)に対し請求しなければ支払われることはありません。
介護をしつつ、このような請求を行うことは多大な負担となりますし、また将来介護費の請求は法的な専門的知識を必要とします。
そのため、勤務先に対して介護費の請求を検討されている方やお悩みの方は、労災問題に力を入れている当事務所にご相談ください。
4. 付添費用
医師の指示または受傷の程度などによって、必要があると認められる場合には、職業付添人分については実費全額、近親者付添人分については1日6500円程度が損害として認められます。
ただし、症状の程度によっては、金額は増減します。
付添費には、入院付添費、通院付添費、症状固定までの自宅付添費があります。
入院付添費は入院中の付添費用であり、通院付添費は怪我や疾病の程度によって一人で通院できない場合に認められる費用であり、自宅付添費は自宅での看護や付き添いが必要な場合に認められるものです。
付添費もすべてが労災給付で賄われることは少なく、補償が十分でない部分については自ら行動を起こし事業主・勤務先(通勤災害では加害者)に対し請求しなければ支払われることはありません。
しかし、事業主に対する請求は、法的な専門的知識を必要とします。
そのため、勤務先に対する付添費の請求を検討されている方やお悩みの方は、労災問題に力を入れている当事務所にご相談ください。
5. 家屋・自動車等改造費
被災者の後遺症の程度・内容によって、必要性が認められる場合に、改造の相当額部分について請求が認められる場合があります。
例えば、浴室、トイレ、出入口、障害者用車両への改造などが認められています。
いずれも、後遺症が重度の場合に認められています。
家屋・自動車等改造費についても、法的な専門的知識を必要とします。
そのため、勤務先に対して家屋・自動車等改造費の請求を検討されている方やお悩みの方は、労災問題に力を入れている当事務所にご相談ください。